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獣の仕業のしわざ

劇団獣の仕業のブログです。 日々の思うこと、 稽古場日誌など。

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第九回公演「ヴェニスの商人」稽古開始前夜

こんにちは。小林です。
明日から、いよいよ第九回公演「ヴェニスの商人」の稽古が始まります。
「いよいよ」という割りには、前回公演から近しいものです。

突然ですが、シェイクスピアは不変であり、普遍に存在していくものなんだろうと、
つとに思うようになっております。

私は非常に怠惰で不勉強な人間なものだから、知らないことが多すぎます。
それでもまた向かい合おうとしてしまいます。

役者は向かい合うということが必要です。
前回公演では、特にそれを思ったものです。
愛情も友情も、真実も、夢も向かい合って形成されました。

向かい合うということは、ふつう一般に生きる世界のなか、
誰にとっても必要なことだと思います。
それは単純、人と人とが向かい合う、
生きていくうえで逃げずに向かい合い、
理解をして知って、また見る見直す。

向かい合いたいから向かい合って、
泣いても、苦しくても、例え今は笑っていても、
いつか泣くことを怖れたり、なくなることに不安になったり、
まだ来ない世界、不確かな未来があります。
それは、自分の世界や誰かの世界だったり、
至極不安定で崩れそうな世界のうえで私たちは、
ひとり、ひとりが自分の道を一歩、一歩と生きています。

私たちは偶然に出逢い、獣の仕業が生まれました。
苦しかったことも楽しかったことも、
何もかも「ある」ことを共にしてきたのも偶然。

立夏、田澤、手塚、藤長、凜子がそこにいたのも偶然。
そしてそこに雑賀がぴょんっと入ってきたのも、偶然。
でも、皆が皆、変わらず所属しているのは?

今ここは、また会える必然の場所です。
いつでも帰れる、いつでも戻れるそんな場所。
私たちが芝居をすることも、もう必然に近いものになっています。
しかし必然は、まだ脆弱さがあるように思うのです。

不変は、決心と覚悟と責任で成ります。

不変かつ普遍に存在するシェイクスピア、不変で普遍にいようとする私がいる劇団。
また邂逅します。これで三回目になります。

また向かい合います。
新しい本に生きる人。
新しい今を生きる人。
新しい場所で
新しく生まれ変われるように、
努々の努力を弛まず
またひとつの中継地にたどり着けますように。
ひとりひとりの一歩一歩がゴールにたどり着きますように。


祈り

「ヴェニスの商人」はじまります。
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「空騒ぎ」という物語に寄せて


ご来場ありがとうございました。


立夏です。

上演後記は小林さんにお任せしてしまいましたが、改めましてご来場・ご声援頂いたすべての皆様に深く感謝申し上げます。
今までの獣の仕業で最大動員となりまして、皆様お暑い中お越しくださり誠にありがとうございます。

この記事では上演後記に代えて、「空騒ぎ」を上演するに至った作家立夏個人の経緯のようなものを書いてみようと思います。
演出側のことはここでは書きませんので悪しからずです。




今回は獣の仕業初の「喜劇」の挑戦となりました。
この辺りは前々回の小林さんの「上演後記」が更に展開しています。よろしければ。

特に、旗揚げから第三回までは私はひたすら、どれだけ悲惨になれるか・どれだけ哀しい風景を創造できるか を考えていました。物語はすべて私の作り上げた悲しい気持ちだけで編まれていました。

なぜ心境が変わったのかは「空騒ぎ」後記から外れてしまうので割愛しますが、その時私は「フィクション」を書くことをやめてみようと思いました。
見栄を張らず、誇張せず、できないことも・できたことも・分からないこともそのままにしよう、

私は、無意識にフィクションの力を用いて昔に出来た傷口を引っかき回してどうにか治さないようにしていました。それだけが罪滅ぼしだと思っていたからです。
そしてやがて、傷口は治すべきだと思いました。
舞台を、化膿した傷を見せびらかす場所にしかねない行為はやめようと。
(決してそういったエンジンで書かれる作品自体は否定しません。現在の私がそれを選択しないというだけです)

悲しみに打ち拉がれたり、怒りに我を忘れたり、絶望のあまり身を投げたり、
そういったものが物語の底辺を支配していなくても、今なら心震わせるものが出来るんじゃないか─
2年ほど前から薄々思っていたけれど「まだ早い」「それは今じゃない」と踏み切れないでいました。

ですから今回の「空騒ぎ」で書かれたたくさんの恋の詩、役者たちが見せてくれた歓喜の涙、そして太陽のような笑顔─ それらは私個人に関して言えば念願の治癒であり、団体としては数年前から辿り着きたかったひとつのゴールです。
ここから先、獣の仕業はまた新しい境地を探していこうと思います。
※「ゴール」とは書きましたが、獣の仕業は今後喜劇専門劇団に路線変更する予定も、かといって「空騒ぎ」をイレギュラ公演にするつもりもありません。「前と同じ感じの公演は打たない」がモットーの獣の仕業です。


空騒ぎの物語の中で、登場人物たちもたくさんの傷を負いました。
悲劇が傷が付いていく過程の物語であるならば、喜劇はその傷を治していく過程の物語です。

多さ深さは違えど、傷のない人間は、恐らくいないでしょう。
傷付けた事のない人も、傷付けられた事のない人も恐らく。

もし「空騒ぎ」を観て下さった皆様に、最後空に向かって手を伸ばしていた彼らのハッピーエンドが少しでも勇気を与えることができていたら、これ以上はありません。

(もしくは「笑ってるのが一番だね」とかでもいいです)


それでは改めましてすべての方に感謝を。
次回は11月pit北/区域でお会いしましょう。


立夏


上演後記:第八回から第九回へ

こんにちは。小林です。
第八回公演「空騒ぎ」が終わり、早いもので、既に10日近くが経ちました。

今年の獣の仕業は、いつになくハイペースです。
今週末から、第九回公演「ヴェニスの商人」が始まります。

「空騒ぎ」の余韻、それは私の中でまだ残っています。
あの男だらけの稽古場や、婚礼のシーンでのダンス?やら、一個一個の台詞の数々、伝えるもの、伝えられたもの、吐きそうなほどに緊張した客入れがあったこと(既に舞台上にいましたので、もちろん吐きませんでしたがw)、そして、なんというかトビトとして居たという感覚それ自体が、まだ私の中に息づいて残っています。それは確実な感覚です。

獣の仕業は、今まで公演が終わると1か月以上のブランクを以て次回公演に向かうことが多かったのですが、今回はブランクは1週間、それも、HPでご案内している通り、その1週間ですらワークショップがあった訳です。

幸せ、だと感じています。そして、どんどん痩せていくなと思っています。来年の今頃、私はきっとプレーリードッグのように小さな存在に成り果て、この世界と、それでも関係を持とうとすることでしょう。
そうです、さすれば、人気者になって、あんなことやこんなこと……


こんにちは!小林です!
さて、今週末から、また新しい出会いが始まります。
それは、もちろん新しい役との出会いであると同時に、獣に出てくださる方々、
獣を観てくださって出たいと思って決意・してくださった方、
あるいは獣という劇団を知らないまま、それでも参加を決意してくださった方。

私たちは、また新しく出会います。
そして、出演してくださる方々は、獣という劇団を、獣の芝居というものに、そうして新しく出会うことになります。

「空騒ぎ」で出会うことができた皆さん、そして「ヴェニスの商人」で新しく出会う皆さん。
それは、なんだかバトンが渡されたように。連綿と、続いていくようでだから、幸せに思うのです。
これは、今回がブランクがほぼないということで思う、新しい気持ちのようです。

まだ、出演者についての詳細はまだ発表できません。ですが、獣からも、また懐かしい顔が見られることと思います。…私は、自分のバトンを離すつもりはありません!こ、これは俺のだ!笑


獣の仕業も、もう6歳になりました。もう、小学生に入学するくらいになりました。
お越しくださる皆様、出演してくださる皆様、支えてくださるスタッフの皆様、このブログを読んでくださる皆様、本当に、いつもありがとうございます。

成人式には是非とも来てください。

千本桜ホール アクセス & 当日券情報

すでに深夜0:00を回っておりますのでいよいよ本日7/19より
獣の仕業第八回公演「空騒ぎ」開演です。

ここで会場である「千本桜ホール」へのアクセスを写真付きでご案内致します。
「学芸大学」駅よりほど近く、寄り道なしの場合は2分~5分ほど見て頂ければ到着します。

また駅の周りには活気のある商店街や飲食店もあります。
ご来場前に駅周りの探索も楽しい街です。

千本桜ホール アクセス

1. 東急東横線「学芸大学」駅 を下車します。
【注意!】「学芸大学」駅には「特急」「通勤特急」は停車致しません。
 「急行」もしくは「各駅停車」をご利用下さい。


下車しましたら改札を出て左「西口」に出ます。



2. 駅構内から出たらすぐ右折(ほぼ線路沿い)の小道を進みます(黄色い円の部分です)。
小道の入り口すぐ右手には駅の喫煙所がありますので目印にして下さい。



3. 小道を進みますと左手にすぐ「ファミリーマート」が見えます。



4. ファミリマートの角を「左折」してください。



5. 次の角を「右折」してください(黄色い壁の美容院の角、駐輪場の手前です)。



角を曲がるとすぐ右手に千本桜ホールがあります。
受付は一階、劇場は階段を上がって「三階」です(お手洗いは「二階」です)



土日は両日とも雨が予想されます。お足元にお気を付けてお越しください。
貴重品以外の大きいお荷物は受付でお預かり致します。

当日券情報 ※土日両日当日11:00前後に決定します。

7/19(土)

15:30, 19:30 どちらもキャンセル待ち
・お電話(090-2750-9136)でお問い合わせいただくか
・最新の当日券情報を7/19 11:00前後に けものちゃんがTweetしますので @kmn_chan_botをご確認ください。

7/20(日)

13:30, 16:30 どちらの回も前売予約受付中です。
※7/19 1:10現在の情報です


獣の仕業第八回公演
「空騒ぎ」

The Act of Beast 8th Stage [Much Ado About Nothing!]

日時:2014年7月19日(土),20日(日)
19日(土)15:30/19:30
20日(日)13:30/16:30

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獣の仕業第八回公演「空騒ぎ」上演前のご挨拶2



獣の仕業第八回公演の演出ノートに書いたことについて
もう少し丁寧に、この場を借りて書いてみようと思います。

「喜劇」をやるということ。
そして私たち獣の仕業が「喜劇」をやると言う事について。

「空騒ぎ」はシェイクスピアの喜劇です。
日本だと「恋のから騒ぎ」も有名ですが、このタイトルはシェイクスピアの空騒ぎのパロディです。
いきなり余談ですが「空騒ぎ」の原題は"Much Ado About Nothing"
そして「恋のから騒ぎ」のサブタイトルは"Much Ado About Love"です。いいですね。


皆さんは喜劇と言うとどんなものを想像するでしょうか?

吉本新喜劇のようなボケとツッコミのあるコントに近いものでしょうか、
それともチャップリンやミスタービーンのようなひょうきんな動きや表情があるものでしょうか?
もしくは三谷映画のようなすべての伏線がオチに向けて収束していくようなシチュエーションコメディでしょうか?

来月上演する獣の仕業の空騒ぎはそのどれとも違うような形を目指しています。

「喜劇と悲劇はコインの裏表」
これは今回のチラシや公演情報の末尾に添えさせて頂いた言葉です。
ふたつは表裏一体で双子の様に似ている部分もあれば、火と水の様に正反対の部分もある、
そんな、ふたつでひとつのものだと私は思っています。


以前上演した「オセロ」[Othello the Sharkespeare]は「悲劇」でした。

妻の不貞への嫉妬に苦しみ喘くオセロ、
夫の怒りに触れて力なく涙する鞆音、
二人の悲しみに触れてもなお破壊していく夜光、
物語は悲しみ、怒り、苦しみで溢れ、束の間見えたような喜びの兆しも悪知恵の前にして蕾のまま消えていきました。
ですがそこには同時に、悪意に必死に立ち向かう人間のもがき抗う「生」の力がありました。

今回の空騒ぎと言う「喜劇」でも私達はその必死な「生」を舞台上に立ち上げたいのです。
「生」の力、人間の力、それはこの世界のあらゆる理不尽さや悪意から、自分の大切なもの守る為に戦う力です。


あなたの大切なものはなんですか?

あなたが守り・戦う力を持てるものはなんですか?


それは決して、日本の運命とか地球の行く末じゃなくていい、
家族、友達、会社、月のお給料、自分のポリシー、ペット、道端に咲いている小さな花、十人十色のはずです。
私達は何かの為に毎日自分を懸けて戦っています。全員が誰かにとってのスーパースターです。

「空騒ぎ」の登場人物は恋や夢に生きています。
恋にまつわるときめきや喜び、そして退屈や胸の痛みについて。
「あの子は俺の事が好きだろうか?」
「あの人が私の事を愛している?」
と、それはもう必死にです。その必死さは悲劇でも喜劇でも変わりません。

ですから私たちの空騒ぎは「オセロ」や前回公演「群集~」以上の熱量を目指しています。
お客様各位におかれましても、今まで同様の緊張感をお願いすることになるはずです。
どうぞリラックスせず、ドキドキしながら見に来てください。

ただし登場人物達の「必死な姿」が、今までのような眉間に悲しみや苦しみに満ちたものばかりでないことも事実です。
必死な笑顔!必死な喜び!傍から見ると(もしかしたら)それが滑稽に映るかも?しれません。
その辺りは新しい獣の仕業として楽しみにお待ちいただければ幸いです。


最後に。
「悲劇」と「喜劇」には明確な違いがあります。

それは「エンディング」です。

いわずもがな、悲劇はアンハッピーエンド、そして、喜劇はハッピーエンドです。

シェイクスピアの「空騒ぎ」は喜劇です。
そして上演は、原本に忠実にハッピーエンドです。アンハッピーエンドへのアレンジはしておりません。
今迄上演してきた悲劇作品の中で儚く散って行った蕾のままの喜びが、ようやく花咲く事をお約束します。


その花がどんな風に咲くのか、どんな色のどんな形の花なのかは、まだ秘密です。
劇場に訪れた方にだけそっと耳打ちするような気持ちで、上演作品に代えさせて頂きたいと思います。

あなたのご来場を、キャスト・スタッフ一同、心よりお待ちしております。



獣の仕業第八回公演
「空騒ぎ」

The Act of Beast 8th Stage [Much Ado About Nothing!]

日時:2014年7月19日(土),20日(日)
19日(土)15:30/19:30
20日(日)13:30/16:30

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