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獣の仕業のしわざ

劇団獣の仕業のブログです。 日々の思うこと、 稽古場日誌など。

[THE BEAST] 出演者紹介3 雑賀玲衣



 立夏です。ブログではご無沙汰しております。
 さて、獣の仕業 第十三回公演[THE BEAST]の上演がいよいよ来週となりました。
 今回出演する俳優たちをひとりずつ紹介していきます。
 
 今回はあいうえお順に紹介しております。
 きえる、小林龍二に引き続き、「雑賀玲衣」です。
 
 雑賀さんはなんていうんですかねー、年々仕上がってきていますよねー。

 わたくし、彼女のお母様ともお話させて頂く機会があるのですが、ここ二年くらい、年々雑賀玲衣がお母様に似てくるのをひしひし感じます。
 二人は見た目もさることながら好きな服やセンスもとても似た親子でして、二人並んでいると誰が見ても親子。漫画のキャラデザのように共通項の多いお二人でございます。

 そんな、お母様にどんどん似てくる雑賀玲衣。このままぐんぐん接近していって、あと十年くらいしたらやがてふたりはひとつの魂になるんじゃないかと予想してます。


 
 中身に関して申し上げますと、彼女は自意識が強くて、自己評価が低い。最近そのあたりがどんどん加速してきて、なんとも図々しく、それでいて可愛く、健気です。というか、たぶん今までもそうだったんだろうけど、遠慮して言わなかったんでしょうから、チームとして何しろよいことですね。
 
 この手のことを書きすぎると本人に怒られそうなのでこの辺にいたしますが、そのような自意識も、傷つきやすさも、実はウジウジ悩むところも、それをバネにどんどん美しくなっていくところも、負けず嫌いなところも、「できません」とか「自信がありません」とか何とか言いながら、頼んだことは必ず仕上げてくるところも、すべてひっくるめて、最近は、
 
 彼女こそ、舞台で芝居をするために生まれてきた人間なのだ。
 
 そんな風に思うことが今回の公演の稽古中にありました。何度も。
 
 こんなこと言ったらそれはそれでまた「何言ってるんですか」って変に勘ぐられて嫌がられそうなので、言わなかったですけど。
 
 うん、かなりマジで、そう思ってますよ。
 
 そんな彼女ですが、今回獣では初の「トメ」を担います。キャストロールの一番最後を飾るトメ。「獣は主演が一番大変」というのは私自身がよく申していることでございますが、それは作品に対する責任が故です。主演は物語そのものだから。そして、その次に責任が大きいのが「トメ」です。物語が主演のために書かれているというアドバンテージがある分、芝居として巧さが求められるのはトメなのではないかとも思います。
 
 雑賀さんは前々回の「炎天」で見事に主演を果たしてくれましたので、じゃあ次はトメだろうということで、いやあ、とっても、ワクワクしますよね。彼女はプレッシャーに弱い印象がすこしあるのですが、トメですから、そうも言っていられませんね。

 いいかい、誰でもない、君がやるのだ。いいね。




 公演は来週12/22(土)~12/24(月祝)です。
 以下のカルテットオンラインからご予約をお待ちしております。
[THE BEAST]チケット予約フォーム
 


 

獣の仕業第十三回公演[THE BEAST]



作・演出:立夏
出演:小林龍二 手塚優希 松本真菜実(salty rock)松村瀬里香 きえる 雑賀玲衣
スタッフ:照明 寺田香織 音響 新直人(salty rock/零's Records)フライヤー撮影 かとうはるひ 宣伝美術 塩澤亜美子

かつて地球に多く生息していた"エンゲキジン"という動物が滅びようとしていた。
あるものは子供ができたため、あるものは演劇で食っていけず、あるものは……
そして千年後。とうとう地球上のエンゲキジンはある男ひとりになってしまった。
男はかつて十年続いたある劇団のメンバーだったが、
昔の仲間との思い出を忘れることができずに、滅んだ仲間を泥で作り稽古を繰り返していた。

そんな彼の元にひとりの女がやってくる。女は言う。
「私の名はシュジンコウ。月からやってきた"カンキャク"最後の生き残りです」
千年の時を超え、エンゲキジンとカンキャクが出会う。そして再び演劇が始まる──

現在あるいはかつて演劇に身を捧げたすべての演劇人へ、
そして演劇を愛するすべての観客へ贈る獣の仕業流、全身全霊"演劇讃歌"

 

○日時:


2018年12月22日(土)~12月24日(月祝)
12/22(土) 15:00/19:00
12/23(日) 14:00/19:00
12/24(月祝)14:00/18:00

○料金:


2,000円(前売・当日ともに)
リピーター割引:1,000円(半券持参・要予約)

・上演時間:80~85分
・受付開始・開場は開演30分前
・小学生未満のお子様のご入場はご遠慮ください
・開演10分前を過ぎますとキャンセル待ちのお客様を優先してご案内致しますので、お席の確保ができない場合がございます。お時間には余裕を持ってお越しください
・リピーター割引は本公演の半券のみご利用いただけます

○チケットご予約:


ご予約はWebフォームからのご予約が便利です。
メール・電話でも受けつけております。いずれのご予約方法の場合にも当日会場受付でのお支払です。

Webフォームから予約する(カルテットオンライン)


[THE BEAST]チケット予約フォーム
必要事項を入力の上「登録」をしてください。

電話またはメールから予約する


・09027509136
・swz★live.jp(★を@に変えてください)
お名前(フリガナ)、ご連絡先、ご予約日時、枚数をご連絡下さい。

○会場:


吉祥寺櫂スタジオ
(東京都武蔵野市吉祥寺南町4-6-1)
・JR中央線・京王井の頭線「吉祥寺」駅より徒歩12分
※ 会場には駐車場・駐輪場はございません。公共交通機関をご利用いただくか近隣の有料駐車場・駐輪場をご利用ください

演出ノートなど詳細はこちら
http://kemono.xxxxxxxx.jp/13th/13th.html


製作者一同、皆様のご来場を心よりお待ちしております。
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[THE BEAST] 出演者紹介2 小林龍二



 立夏です。ブログではご無沙汰しております。
 さて、獣の仕業 第十三回公演[THE BEAST]の上演がいよいよ来週となりました。
 今回出演する俳優たちをひとりずつ紹介していきます。
 
 今回はあいうえお順に紹介しております。
 第一回目は「きえる」でした。第二回は「小林龍二」
 今回の、主演です。ヨッ、ヨッ。


 
 公演があるたびにほぼ毎回俳優紹介を書いているものですから、小林のことはかれこれ十回は紹介していることになります。彼は獣の仕業の作品に私をのぞくとすべて参加している人間なのです。もう書くことがないんじゃないかと思いながら書き始めています。


 
 さて、私は脚本の書き出しのエンジンとして「物語を主演のために書く」ということを長らくポリシーにして参りました。作品のムードや主演の雰囲気を、実際に主演を担う人間に「捧げる」というイメージです。
 そうすると、作品の雰囲気に個性が出て、助かっているのです。そのため[THE BEAST]はまさしく小林のために書き始められた物語ということであります。
 しかしながら、と書きながら思い至りました。獣の仕業全作品の中で、私のオリジナル脚本で小林が主演だったことはこれまで一度しかなかったのです。第三回「雷魚、青街灯、暗闇坂、あるいはうしなわれたものたち」(以下「雷魚」)それだけです。彼は獣の仕業参加皆勤賞でありながら、これまでオリジナル脚本で主演は一度だけ。主演を張っているイメージが強いですが、実はそれってほとんど既存戯曲で、私のオリジナル戯曲では「トメ※」率が一番高かったのです。
※ キャストロールの一番最後に配置される俳優のことを「トメ」といいます。
 
 その「雷魚」と[THE BEAST]の主演のパーソナリティーを比べると、自分の中の共通点を見つけることができました。
 
「自己愛」と「攻撃性」と「孤独」です。

 雷魚の上演から約8年が経過しておりますが、小林に対して私が抱えているイメージはこのように、ほとんど変わっておりませんでした。当時はそのあたり無意識に書いていますが、今回はかなり意識的に書いておりますので、「自己愛」たっぷりの「攻撃性」がある「孤独」な男の物語です。2017年まで硬派なカッコイイ役ばかりを当ててまいりましたが、2018年は「象」と[THE BEAST]でそんな小林のイメージをことごとく破壊したい。
 
 何故ってね、最近いろんなところで小林さんをご愛顧くださいまして、代表としては嬉しい限りでございます。しかし、そろそろここらでひとつ株を落としてみるのもいいなと思っているのです。
 
 ご覧いただいたあとで、ご来場いただいたお客様各位にわたくしは声を大にして申し上げたい。「皆様、これはアテガキです。小林はこんな人間でございますよ」と。
 
 小林、お前はちょっと、好かれすぎたな。
 ここらで嫌われるがいい。
 千秋楽までの命だと思え。


 



 公演は来週12/22(土)~12/24(月祝)です。
 以下のカルテットオンラインからご予約をお待ちしております。
[THE BEAST]チケット予約フォーム
 


 

獣の仕業第十三回公演[THE BEAST]



作・演出:立夏
出演:小林龍二 手塚優希 松本真菜実(salty rock)松村瀬里香 きえる 雑賀玲衣
スタッフ:照明 寺田香織 音響 新直人(salty rock/零's Records)フライヤー撮影 かとうはるひ 宣伝美術 塩澤亜美子

かつて地球に多く生息していた"エンゲキジン"という動物が滅びようとしていた。
あるものは子供ができたため、あるものは演劇で食っていけず、あるものは……
そして千年後。とうとう地球上のエンゲキジンはある男ひとりになってしまった。
男はかつて十年続いたある劇団のメンバーだったが、
昔の仲間との思い出を忘れることができずに、滅んだ仲間を泥で作り稽古を繰り返していた。

そんな彼の元にひとりの女がやってくる。女は言う。
「私の名はシュジンコウ。月からやってきた"カンキャク"最後の生き残りです」
千年の時を超え、エンゲキジンとカンキャクが出会う。そして再び演劇が始まる──

現在あるいはかつて演劇に身を捧げたすべての演劇人へ、
そして演劇を愛するすべての観客へ贈る獣の仕業流、全身全霊"演劇讃歌"

 

○日時:


2018年12月22日(土)~12月24日(月祝)
12/22(土) 15:00/19:00
12/23(日) 14:00/19:00
12/24(月祝)14:00/18:00

○料金:


2,000円(前売・当日ともに)
リピーター割引:1,000円(半券持参・要予約)

・上演時間:80~85分
・受付開始・開場は開演30分前
・小学生未満のお子様のご入場はご遠慮ください
・開演10分前を過ぎますとキャンセル待ちのお客様を優先してご案内致しますので、お席の確保ができない場合がございます。お時間には余裕を持ってお越しください
・リピーター割引は本公演の半券のみご利用いただけます

○チケットご予約:


ご予約はWebフォームからのご予約が便利です。
メール・電話でも受けつけております。いずれのご予約方法の場合にも当日会場受付でのお支払です。

Webフォームから予約する(カルテットオンライン)


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・09027509136
・swz★live.jp(★を@に変えてください)
お名前(フリガナ)、ご連絡先、ご予約日時、枚数をご連絡下さい。

○会場:


吉祥寺櫂スタジオ
(東京都武蔵野市吉祥寺南町4-6-1)
・JR中央線・京王井の頭線「吉祥寺」駅より徒歩12分
※ 会場には駐車場・駐輪場はございません。公共交通機関をご利用いただくか近隣の有料駐車場・駐輪場をご利用ください

演出ノートなど詳細はこちら
http://kemono.xxxxxxxx.jp/13th/13th.html


製作者一同、皆様のご来場を心よりお待ちしております。

[THE BEAST]出演者紹介1 きえる



 立夏です。ブログではご無沙汰しております。
 さて、獣の仕業 第十三回公演[THE BEAST]の上演まで二週間となりました。
 今回出演する俳優たちをひとりずつ紹介していきます。
 
 今回はあいうえお順にしようかと思います。
 第一回目は「きえる」!
 
 きえるが初めて出演したのは2014年に王子pit北/区域で上演した第九回公演「ヴェニスの商人」[Kingdom Come]。あれから4年の月日が経ちました。稽古場では「みんなの妹」のようなきえるですが、4年の月日を思い起こすとずいぶんお姉さんになったなと感じます。
 
 きえるは感受性が豊かな俳優。それゆえ、彼女自身が「ノるかどうか」が芝居に大きく影響します。
 
 標準的なことを言えば、演じている俳優がノっているかいないかは作品には関係がありません。ノっていても、いなくても、たとえテンションがダダ下がりでも、常に最高の芝居を提供すべきです。

 しかしきえるに関してはその「ノった」ときの演技が半端ではない。キャリアや実力が倍以上違う共演者たちがいる中で、観客がみんなきえるだけを見ている──そんな舞台をこれまで何本も見ました。
 私は真摯に芝居をすることの比喩としての「生きる」という表現を、個人的には積極的に採用しないのですが、彼女を見ていると舞台上で生きているとしか言い表せない瞬間があります。彼女自身の感受性や感情が役とみっちり癒着して舞台に立ち上がった瞬間。なんとも美しいなあと思います。
 
 演出家としてはきえるのその「スイッチ」を彼女自身と協力しつつポチポチ押していくのが仕事かなと思う反面、もうちょっとノってないときの芝居のアベレージ上げてくれよとも思うすばらしき日々です。
 
 しかし、実を言うと俳優としての私自身がきえるに輪をかけてその手の「スイッチ女優」です。しかもきえるのほうが俳優としては優れていますし、全然人のことこんな風に書く資格、ない。だからなんていうかきえると芝居作っていると、自分の実態と理想の矛盾というか、やってることと言ってることのツジツマ合わない部分というか、みずからの本質的なウィークポイントをくすぐられてしまって、まあ、あれですね、日々精進です。



 そんな彼女ですが、今回本人曰く「孤高の役」を演じます。
 脚本を書きながら、これはきえるには合わない役だなー、まあ大変だろうなーと思いながら、でもどこかで「きえるがやってくれたら面白いかもな」とも思っていた、そんな登場人物です。
 まだ上演まで二週間ほどございますが、そんな最初の私の心配はどこへやら、非常に優しくタフな役作りをしてくれていて、本番までのこれからの伸びしろも楽しみでなりません。
 これまできえるを応援してくれた皆様にとっても、また獣の仕業をこれまでご覧になってくださった方にとっても、今までお目に掛かったことのない役柄だと思います。
 
 私はこれまで十年間、このタイプの役柄を舞台に登場させることを意図的に避けてまいりました。
 この言葉の意味は、当日劇場にご来場いただいて、パンフレットをご覧いただければ、きっとすぐおわかりになると思います。
 



 公演は来週12/22(土)~12/24(月祝)です。
 以下のカルテットオンラインからご予約をお待ちしております。
[THE BEAST]チケット予約フォーム
 


 

獣の仕業第十三回公演[THE BEAST]



作・演出:立夏
出演:小林龍二 手塚優希 松本真菜実(salty rock)松村瀬里香 きえる 雑賀玲衣
スタッフ:照明 寺田香織 音響 新直人(salty rock/零's Records)フライヤー撮影 かとうはるひ 宣伝美術 塩澤亜美子

かつて地球に多く生息していた"エンゲキジン"という動物が滅びようとしていた。
あるものは子供ができたため、あるものは演劇で食っていけず、あるものは……
そして千年後。とうとう地球上のエンゲキジンはある男ひとりになってしまった。
男はかつて十年続いたある劇団のメンバーだったが、
昔の仲間との思い出を忘れることができずに、滅んだ仲間を泥で作り稽古を繰り返していた。

そんな彼の元にひとりの女がやってくる。女は言う。
「私の名はシュジンコウ。月からやってきた"カンキャク"最後の生き残りです」
千年の時を超え、エンゲキジンとカンキャクが出会う。そして再び演劇が始まる──

現在あるいはかつて演劇に身を捧げたすべての演劇人へ、
そして演劇を愛するすべての観客へ贈る獣の仕業流、全身全霊"演劇讃歌"

 

○日時:


2018年12月22日(土)~12月24日(月祝)
12/22(土) 15:00/19:00
12/23(日) 14:00/19:00
12/24(月祝)14:00/18:00

○料金:


2,000円(前売・当日ともに)
リピーター割引:1,000円(半券持参・要予約)

・上演時間:80~85分
・受付開始・開場は開演30分前
・小学生未満のお子様のご入場はご遠慮ください
・開演10分前を過ぎますとキャンセル待ちのお客様を優先してご案内致しますので、お席の確保ができない場合がございます。お時間には余裕を持ってお越しください
・リピーター割引は本公演の半券のみご利用いただけます

○チケットご予約:


ご予約はWebフォームからのご予約が便利です。
メール・電話でも受けつけております。いずれのご予約方法の場合にも当日会場受付でのお支払です。

Webフォームから予約する(カルテットオンライン)


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電話またはメールから予約する


・09027509136
・swz★live.jp(★を@に変えてください)
お名前(フリガナ)、ご連絡先、ご予約日時、枚数をご連絡下さい。

○会場:


吉祥寺櫂スタジオ
(東京都武蔵野市吉祥寺南町4-6-1)
・JR中央線・京王井の頭線「吉祥寺」駅より徒歩12分
※ 会場には駐車場・駐輪場はございません。公共交通機関をご利用いただくか近隣の有料駐車場・駐輪場をご利用ください

演出ノートなど詳細はこちら
http://kemono.xxxxxxxx.jp/13th/13th.html


製作者一同、皆様のご来場を心よりお待ちしております。

「象」終演のご挨拶

 
獣の仕業 The Out of Beast 2018「象」お陰様で無事に終演いたしました。

 ご来場いただいた皆様、ご支援くださった皆様、ご声援くださった皆様、誠にありがとうございます。


 
 毎回のことでありますが、今回も皆様の多大なお力添えのお陰で公演を最後まで行うことができました。心より御礼申し上げます。
 

 
 少し、別役実さんの作品との出会いや関わりのことを書きます。
 
 別役実戯曲を獣の仕業で上演したのは2017年の「門」から二作品目です。しかし、実を言うと学生の頃に一度同氏の「病気」という作品を演出したことがあり、個人的にはそれが「別役実ことはじめ」だったりします。2006年に上演しました(久しぶりに学生時代のHPを確認しましたので確かです)その頃は、演劇とコントの中間の脱力系仕立ての作品にしたので、今の獣を良く見知っている方にとっては意外かもしれません。
 
 当時の学生の時分、作品に対して感じたのはとにもかくにも脚本の扱いづらさでした。
 
 意味を感じないムダなやりとり、とぼけたような「スカシ」とも取れるようなボケの数々、そのクセ伏線は緻密でカットもしづらい……、「分かりづらく」「楽しみづらく」つまりはとても「扱いづらい」──当時は別役作品をそんなふうに解釈しておりました。
 私には合わないな……とも感じておりました。

 それから時は約十年経ち、いつの間にかその別役さんの作品を大層気に入り二作品も演出してしまった私です。
 
 かつては「意味のない」と感じていたやりとりが、重要なシーンと同じモチーフが使用されていることで作品の統一感を出すのに一役も二役も買っているし、一見して意味がないと感じてしまったシーンが実はよく読むとクライマックスのシーンと同じセリフ構成で書かれていたり、スカシボケのように感じたものも、今なら「ただただ普通にやるのが一番面白いんだな」という一旦自身の中の回答は得られています。当時は気が付くことができなかった作品のたくさんの魅力に今の自分が気付けていることを嬉しく思います。
 

 
 また元々獣の仕業で別役を上演した動機としては「多分、獣は別役は向いていないから」というのがありました。
 獣は身体性が強い劇団であり、一方で別役の戯曲には語りの面白さがある……、獣が別役をやることは、別役戯曲の面白さを削ってしまうことになるのではないか……そんな風に考えていたからです。
 
 でも、だからこそ、やってみようと。
 
 語り、特に「台詞の正確な意味情報を伝える」「台詞中の言葉本来の手触りを伝える」という点において、私たちの劇団は主観客観ともに評価としてもすさまじい弱さを抱えていて未だに改善の余地アリアリなのです(もちろんこれは身体性について改善の余地がないほど洗練完了している、という意味はまったくありません)。その劇団が語りの旨味を味わう別役戯曲に挑戦するということは、語りを重点においた劇団とはまた違った角度で別役戯曲を浮かび上がらせることができるだろうということと、そして、劇団が進化していく上で、つまりは今後更に良質の作品を作れる団体になるために意味があることだろうと思いました。
 
 その上で、やはり別約戯曲を選択した責任として、自分のオリジナルの戯曲とはまったく異なる琴線で書かれた洗練された語りたちに誠実に向き合うこと。
 その誠実さの証として、原作戯曲に極力手を加えないこと。
 
 これらが演出家としての「象」に対する取り組みでした。その点においては今回の公演は一定の成功を収めたと自負しております。


 
 私はものづくりにおいて一番偉いのは「作品」だと思っております。
 演劇に関して言えば、演出家、作家、音響、照明、制作、俳優、観客など他にも様々な構成要素がありますが、何より偉いのは「作品」。この価値観は私は今後しばらくは変わらないはずです。
 
 今回ほとんどテキレジが入っていないことを「劇作家への敬意がある」と評してくださったお客様がいらっしゃいましたが、私の中ではその辺りの感覚が厳密に言えば異なっていて「別役実さんへの敬意」ではなく順番として先にあるのは「『象』への敬意」なのです(もちろん「象」への敬意の矢印の更に向こう側に別役さんがいらっしゃることは承知しているのでほぼイコールではあるのですが………)
 
「作品」が一番偉いというのはどういうことかというと、たとえば
・自分たちの表現方法を優先して、それが合わないシーンを改変する
・俳優の得意な表現になるように台詞の言い回しを変更する
 と言ったようなことです。
 
 どんな技を使っても構わないが、あくまで戦うフィールドは「作品」。作品を「自分たちらしい表現」の踏み台にすることは個人的なルールとして禁じています。私にとってそれは、サッカーの大会なのにバットとグローブを持ち出してきて「これが自分たちらしさだ」とのたまうようなものなのです。サッカーのフィールドでプレイがしたいのであれば、まずはサッカーのルールや技法を習得すること。その習得の先にしか「自分たちらしいサッカー」なんてありはしません。というように、作品が要求する技法やルールがあるならば、劇団側がそれを習得する、勝負はそれから……そんなところでしょうか。
 そんなふうにしていたものですから今回何人かのお客様に「別役作品似合うね」と言っていただけたことは非常に嬉しかったです。


 
 すみません、ずいぶん話がそれました。
 何にせよ、別役さんも、サッカーも、まだまだ奥深そうです。また何年後かに「象」を読み返したら「なんであのときこれに気が付かなかったんだ」と自分にがっかりする日もきっと来るのでしょう。そのくらい、別役戯曲の沼はとてつもなく深かったです。これからも機会を作って挑戦していきたいと思っています。
 
 また別役実様、「門」に続き「象」に関しても上演ご承諾くださり、誠にありがとうございました。
 
 そしてご来場の皆様、少しでも楽しんでいただけましたら幸いです。また、これからも精進してまいりますので今度ともよろしくお願いいたします。


 
 
 次回公演は12月です。年末に第十三回公演[THE BEAST]というオリジナル新作を発表いたします。劇団結成十周年記念の第二弾として「獣」という文字をタイトルに冠し、総決算的な公演ができればと思っております。まあまあ大風呂敷を広げてしまったなと思いましたが、どうしてもやりたかったんですよ。バンドがバンド名と同じタイトルのアルバムを作るようなことを。「どうだ、これが獣だ!」というようなものを。自分たちの表現方法にも幅が出てきたことが一番ですが、十年という節目に背中を押されたことも大きいです。
 
 もちろん、はじめてご観劇される方にも楽しんでいただけるのが大前提ですし、特にオマツリワッショイ的なことはしないと思いますので「まあいつもの獣なんだな」と思っていただければ幸いです。もちろん、ご期待には存分にお応えする所存でございます。獣の最高傑作はいつでも「次回作」でございます。
 
 それでは、まだ年の暮れにお会いしましょう。
 それまでしばしのお別れです。ありがとうございました!
 
 
 2018年9月 獣の仕業 立夏 拝


photp by かとうはるひ

第十二回「炎天」DVD配送対応販売のお知らせ

いつもお世話になっております。獣の仕業の立夏です。
この度、ホームページにて事前にご案内しておりました第十二回公演『炎天』DVDですが、
マスターDVDが複製できないという不備が直前で判明し、『象』公演会場での販売が出来なくなりました。深くお詫び申し上げます。

ご購入を考えられていた皆様に深くお詫び申し上げます。

つきましては、今公演に限っては、『炎天』DVD購入ご希望のお客様へは配送にて商品をお届けいたします。
そのためもし本公演でのご購入をいただく場合には、パンフレットの中にありますお申込用紙に必要事項を記載の上、会場スタッフにお渡し下さい。
当日先払いで2,000円をお預かりの上、お客様控えをお渡しいたします。

※ 商品は二ヶ月以内に商品を郵送いたします。
※ なお、12月の公演[THE BEAST]では通常通り会場物販での販売を予定しております。

立夏 拝