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獣の仕業のしわざ

劇団獣の仕業のブログです。 日々の思うこと、 稽古場日誌など。

ヴェニスの商人本番直前短期集中連載◆出演俳優インタビューその5:雑賀玲衣


「結構アタシ妄想癖が激しいっていうか…」


 立夏です。
 本番直前短期集中連載として始めた出演者インタビュー、今回でいよいよ最終回となりました。
 以前は団員が客演陣を紹介するスタイルだったのですが私もその輪に入りたいなあと言う不純な動機も実はちょっと否定できないこの企画、実際に話を聞いてみるとインタビューと言う体を借りていつもは聞けないようなことが聞けてしまったり、「実はそんなこと考えていたのか」と意外な一面があったりして、私個人としても沢山のキッカケがありました。

 ラストを飾る雑賀玲衣はすでに獣ではおなじみでファンの多い女優さんですが、実は団員になったのは2011年から。普段あまり自分の話をしない彼女なので、私としてもインタビューを楽しみにしていました。気が付けば過去最長インタビューに!理由は私が喋りすぎたからです!(これでもカットしてるんですが…)

 入団したときの思い出話も語りつつ、今回の役どころについても聞きました。どうぞ!


# 以前のバックナンバーはこちらです。併せてご覧頂ければ幸いです。
第一弾:小林龍二
第二弾:きえる
第三弾:藤長由佳
第四弾:凛子


◆ 共演者がどういう反応を自分に対してしてくれるか?そこから自分の役が立ち上がっていくというスタンス

インタビュアー立夏(以下省略):
─ あの、今回は初めての男役※ということですけれども、その辺りどうすか?

※ 雑賀は今回男役に挑戦します。その他の配役発表はこちらから!
→ ◆本番直前!◆ヴェニスの商人登場人物・配役紹介



雑賀玲衣(以下:雑賀) どうすか?(笑)

─ ああ、ちょっとザックリしすぎてる?

雑賀 大丈夫です!(笑顔で)でも特に今迄と「役に対して」と言う部分で…「男役だから」意識して換えている部分は、うん、ないですね。今迄通りやってます。

─ じゃあ今迄と役に対する向き合い方としては変わっていないと言うことかな。あの、じゃあちゅん(雑賀のあだ名です。以下全部「ちゅん」です)が役作り…いや、「脚本に取り組むとき」に個人的に心がけていることとかありますか? 「こういうことは大事にしている」とか、反対に「こういう部分はあまり気にしていない」とか、そういうような。

雑賀 あんまり、自分一人で脚本を読み込んできたりとか、一人稽古とかは、やってないです。

─ あっ、そうなんだ!

雑賀 そうなんです。(舞踏表現箇所の)振りとか動きが決まったときには自宅で稽古や確認をすることは良くあるんですが、まだそういうのが全然決まってない役作りの段階の時にはひとりで脚本を読み込んだりって言うのがなくって。稽古の場に来て、相手(の役者)がどういう反応を返してくるのかな・って言うところから作っていくようにしています。



─ 稽古場で出来上がっていくモノの方が重要、って言う考え方で正しいかな?

雑賀 そうですね。もうほんと、稽古場でばっかり。

─ 今の聞いてちゅんに対して思ったのは、ちゅんは稽古の一番最初の読み合わせの時が凄くこう… フラットというか… プレーンだよね。

雑賀 そうですね。

─ それは今の話を聞いてて「あ、確かにそうだな」と思ったんだよね。なんかこう…なんだろう。その…、初読み合わせの前に私が(役者に)脚本を渡すとするじゃない? そうすると(初読み合わせの時に)何らかの「キャラクター」であるとかもしくは口調であるとかがもうガッチリ決まってる俳優さんって、自分のところでも他の座組でも見たことがあるのね。決まっていることは全く悪いことではないんだけど、とにかくちゅんはそれの反対だよね。もうちょっとあってもいいだろう(笑)ってくらい「持ってきた」という感じがない、そういえば。それはなんだろう? 何か意図があったりする?

雑賀 やっぱり…、何だろう…

─ 敢えてしないようにしている と言った方が近いのかしら?

雑賀 それはあるかもしれないです。結構アタシ妄想癖が激しいっていうか…、

─ あはは、そうなの。

雑賀 元々自分勝手って言うか、自分本位な演技に走りがちなんですよ。エチュードとかもだから、凄く苦手なんですけども…。だから自分だけで読み込んで役作りして「こういう『読み方』にしよう」とか事前に決めてきちゃうと本当に「自分ひとりで作りました」ってものができてしまう気がして。で、自分だけが楽しいものになってしまう。でもそれって違うじゃないですか。だからそこは、甘えてますね、獣の皆さんに。みんながどういう反応を自分に対してしてくれるのかな? って所から自分の役が立ち上がっていくというスタンスです。

◆「役作り」と言う言葉について

─ 今「甘え」と言う単語が出てきたけども、私は聞いてた感じ甘えだとは思わなくて。例えばさ、自分でガッチリ役を作って来ちゃえばある意味安心はするじゃない。「これをやっていればいい」って言う、

雑賀 そうですね。

─ 役作りをする安心にはネガティブな面もあると思うんだよ。反対に、ちゅんみたいに何も作らない状態で稽古場に立つと言うのはそういう考え方の作り方の視点から見れば、凄く勇気が必要なのかもしれないよ。それは元々雑賀玲衣がそういう指向性なのかもしれないし、もしくは獣がどちらかと言うと稽古場で出来たものを重要視しているから、(雑賀が)それに合わせてそうなったのかもしれない。昔からそうなの? 昔って言うのはうちに入る前の、大学で芝居をしていたときは?

雑賀 結構大学のサークルでやってたときはキャラが立ってる役、ガチガチに性格が固められる役が多かったので、そうなってくると自分で家で(役を)作ってきちゃう…

─ 求められるしね。

雑賀 そうですね。分かりやすい、明解な、感じの、劇が、…多かったので。

─ ウチは分かりにくい、不明確な、感じの、劇ですけども(笑)

雑賀 人と人とのやりとりとか台詞だけじゃなくて、大きな動きや身体表現を使って、五感を使って見るモノ、獣の仕業の舞台のことを私はそう思っているのでだから台詞だけで読み込んでキャラ作りのようなことは獣ではできないと思っています。

─ 一般的に言われている「役作り」はウチではある時には不必要だったり、またある時には何かの妨げになってしまうことが何度かあったよね。ちゅんに限らず。

雑賀 ありましたねぇ…。

─ パッと最初の一言だけで人となりが分かってしまう芝居をすると、何だろう、「分かっちゃう」のって私少し苦手なのかも知れない…。芝居始まって三分くらい立って「ああ、この人ってこういう人か」って分かっちゃった瞬間にお客さんはもうその登場人物のことを見ないんじゃないかって私信じているところがあって。

雑賀 ああ、そうだ。私初めて(獣の仕業の)オーディションを受けに来たときに、例えば「腕を組んでる仕草でキャラクターを表そうとしてるんじゃないか」って立夏さんから言われました。

─ え!! あ、わー、そんなことを! 言ってました!?

雑賀 はい(微笑み)。それで第二回公演でご一緒させて貰ったときに言われたのは「自分のやりたくないことはやらないで」とも言われました。それは今も良く覚えています。

─ ああ、それは言うと思う。言ったと思う。

雑賀 今もそれは大切にしています。

─ ああああ、ありがとうございます…! 今は何だろう、今は「そう言う『振り』をしないで」って言葉に言い換えているかもしれない。

◆ 獣と初めてあったときの既存メンバーの当時の年齢になった

─ 意外と言うことは変わってないっすね。成長してなくてごめんです。

雑賀 最初に私と会ったとき立夏さんいくつですか? 私19歳だったので…

─ じゃあ私が24歳かな。ってことは今のちゅんの年だ!

雑賀 そうですよ~!! 何かそれを最近気付いて!

─ 恥ずかしいですねぇ。…頑張ります!

雑賀 へへへ。

◆ 世界の終わりに何を食べるかを妄想する

─ ちなみにさっき妄想が激しいって言ってたけど、今迄でした激し目の妄想はなんですか? あ…差し支えのないヤツでいいので。

雑賀 私、自分が入っている妄想ってしないんですよ。それこそ「獣のメンバーがこういう場所に立たされたらどう行動するだろう」とか「世界の終わりに何を食べるか」とか…

─ それは… 捗るねえ(笑)。役作りなんかそれこそ向いてそうな趣味なのにね。裏設定を考えたりとか。

雑賀 そうですかねえ? ああ、立夏さんが昔「群集~」のときに私の役の昔話※をTwitterで書いたじゃないですか。あれは捗りました。

─ 本番直前に勝手にああいう裏設定をね、私がブチこむんだよね(笑)。しかし裏設定ってのも良く分かってなくてさあ、結局裏は裏だから、芝居の精度以前にそもそもお客様には正確に分からないじゃない。芝居の物語の中にそれを補強する要素がないから「裏」な訳でね。でもあれかな、役者が自分の芝居をより良く駆動していくために必要なのかな? あくまで裏だよね。

雑賀 私は裏設定があると自分の中に落とし込めるっていうか。

─ 自分のエンジンになるような感じなのかしら。

雑賀 (作品を)良く消化できる気がします。

※ インタビュー中の「昔話」はこちら
「即興小説深夜特急深夜特急「群集と怪獣と選ばれなかった人生の為の歌・のうた」
2013年9月28日(土) ~ 2013年9月29日(日) 荻窪小劇場にて上演された
獣の仕業「群集と怪獣と選ばれなかった人生の為の歌」の上演直前企画として
2013年9月25日(水)~9月27日(金)の三日間 24:00~25:00の一時間限定で
獣の仕業脚本演出の立夏が即興で散文をTwitterに連続投稿した「深夜特急」のまとめです。

◆ 小学校の時、女子の喧嘩チャンピオンだった

─ (ちょうど稽古帰りだったので周りにいる他の役者に)誰かちゅんのインタビュー入りたい人いる?小林さん以外で。小林さん登場しすぎてるから! 他の人のインタビューに!

小林 ・・・。



凛子 いいじゃーん。みんなでお喋りしようよーぅ。

─ 何かちゅんに聞きたいことある?

きえる 普段何食べて生きているのですか。

凛子 きえるはちゅんの生態系を知りたいんだね!

雑賀 私朝ご飯いっぱい食べるんですよ。朝ガッツリ食べて、夜もいっぱい食べて、昼はホソボソと生きています。

きえる 凄く可愛いモノを食べてるイメージがあるんです。

雑賀 かわいいもの?

きえる ピンクの…

─ マカロン?

きえる 着色料的な…

─ アメリカ人だと思ってるの?(笑)

雑賀 最近は内臓系と刺激物が好きです。

全員 へええええ~。

─ 何か結構いつも決まった好きな食べ物があって、稽古場では常にそれを食べているイメージが。

凛子 ちゅんの「好き」って明確だよね。洋服とかもさ、ちゅんが好きそうな服を、ちゅんが着てる。

雑賀 今日は地味ですよ!

─ …ええっ!?

雑賀 …ええっ!?

─ これは地味じゃないんじゃない・・・・・・?


「今日は地味です!」と言っていたインタビュー当日の私服はこちら。皆様、どうですか…?

◆ 小学生の時、女子の喧嘩チャンピオンだった

凛子 ちゅんのあだ名の「ちゅん」って誰が付けたの?

雑賀 通り名です。アタシ小学校の時に女子の喧嘩チャンピオンで、女子で一番喧嘩が強かったんですよ。それでストリートファイターってゲームがあったじゃないですか、そのゲームのキャラクターの「春麗(チュンリー)」から…

凛子 ええ? そうなの!?

雑賀 小学校はそれでずっと「チュンリー」って呼ばれてて、中学高校はもっと素敵な名前でしたよ。「レディー」って呼ばれてました。高校の時に「レベッカ」と言う作品のデンバース婦人を演じていたのでそれからずっと…

─ …アタシそれ見たことある気がする。

雑賀 獣のオーディションでデンバース婦人やりましたもん。

─ ああああ! そうだよね!


確かに強そうです。


─ 最後に小林さん何かありますか? あの、アタシが「出過ぎだ」とか言ったからずっと我慢してくれてたと思うんだけど…

小林 何で本番だけあんなに声デカいんですか!!

雑賀 (笑)それは私自分では意識してないです! 本番だけ大きくしようとか考えていないです!

小林 ほおおお~…。

─ じゃあそんな感じで、最後にお客様に一言メッセージを!

雑賀 pitという洞窟で皆様おひとりおひとりと向き合い、語り合うことができれば、と。ろうそくを灯してお待ちしております。


─ 雑賀さん、ありがとうございました。インタビュー連載はこれで最終回です。最後までお読み下さった皆様ありがとうございました。楽しんで頂けましたでしょうか?


「ろうそくを灯してお待ちしております」


 # ちなみに最後のインタビューに藤長さんがいないのは藤長さんだけ電車が逆方向だったからです…。


獣の仕業第九回公演

「ヴェニスの商人」[Kingdom Come]
チケット予約受付中!!

会場:pit北/区域(最寄り駅:JR京浜東北線、東京メトロ南北線「王子」駅)
◆公演特設ページはこちら◆

2014年11月
1日(土)14:00/19:00
2日(日)14:00/19:00
3日(祝)13:00/18:00

※ 11月3日のみ各開演時間が一時間早いのでご注意下さい。
※ 上演時間は80~85分を予定しております。

携帯からの予約はこちらをクリック!























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