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獣の仕業のしわざ

劇団獣の仕業のブログです。 日々の思うこと、 稽古場日誌など。

ヴェニスの商人本番直前短期集中連載◆出演俳優インタビューその1:小林龍二


「今回の作品では、役者ひとりひとりが必ず強く生きています」

 立夏です。
 前回の記事で予告しておりました「ヴェニスの商人出演俳優インタビュー」です。
 本番直前の短期集中連載として、本作に出演する俳優陣のインタビューをしていきたいと思います。
 舞台を観ているだけだと見えてこないような稽古場やプライベートでの俳優達の意外な一面も分かるかも知れませんし、「ああ、舞台の通りなんだなあ」と思われることもあるかも知れません。
 記念すべき第一弾は 小林龍二 です。作品のこと、俳優としての自分なりの心構え、意外と語ってくれました! 盛りだくさんでどうぞ!


◆ 獣の仕業三作目のシェイクスピア、前作二作を踏まえて

 「悲劇」か「喜劇」かを分けるのは「エンディング」

インタビュアー立夏(以下省略):
─ 小林さん、今回の作品の「ヴェニスの商人」の見所って何だと思いますか?

小林龍二(以下「小林」) みどころ?(ご飯を食べながら)



─ うん。

小林 なんでしょうねえ(食べながら)。痛ってえ舌噛んだ…、ああ、舌を噛むほど良い芝居、とか?

─ なにそれ(笑)、これそのまま載るよ?

小林 ええっ、編集してよ! (俄然気を取り直して)…見所ですか。個人的に言うと見所は製作側から提示するモノではないかもと思うけれども…それはさ、要らないシーンもないのと同様に優れているシーンもないと思っているので。

─ それはその通りですね。

小林 ただ、全体的なことで言うと、今回は獣の仕業としてシェイクスピアは第三弾になるんですね。最初が2012年の「オセロ」、次は前回の「空騒ぎ」、そして今回。オセロは四大悲劇のひとつに数えられますけど、前回の「空騒ぎ」は獣史上初の喜劇(笑)その映像を観て、喜劇かどうかはハッピーエンドかどうか、それだけで変わってくるかも知れないなと思ったもんです。

─ そんなオセロ、空騒ぎを経ての今回、どんな作品にしていくか、ということだよね。取り分け「エンディング」というモノに関して…

小林 今回の作品が一体どうなるのか、すべては話せませんが、

─ エンディングがどっちになるのかは、そうですねえ、観に来てくれた方のお楽しみですね、やっぱり。

小林 ただ、(同じ喜劇でも)前回の「空騒ぎ」とは違ってきます、と言う事は言えるような気がします。役者ひとりひとりの群像というよりは、よりひとりひとりの役者が際立つ構造になっているのではないかと思います。 

─ 際立つというのは?

小林 んー。役者ひとりひとりが必ず、強く生きているってことだと考えます。それは獣の仕業ではずっと変わらないものですけど、全員が全員、等しく「ヴェニスの商人」の住人だから、ですからすべてを観ていただきたいと思います。すべてのあとで、「私」は問いかけます。そのときは、どうか教えてください。

◆ 獣らしさは「楽に観られない」と言うこと。

─ 今回は団体側で過去二作品のように「悲劇」と「喜劇」をハッキリと色分けせずに、それこそエンディング自体をお客様への「問い掛け」にして、解釈は観客の皆様ひとりひとりに委ねたいと言うのがあるんですが、その中でずっと変わらないモノ…いわゆる「獣らしさ」みたいなものを…特に最近は団体として強く意識していますよね。その上で例えば…「獣の仕業の作品」で舞台に立つ上で、特に意識していることってありますか?

小林 獣の仕業って、他の劇団さんの芝居と違って楽に観られないんじゃないかな。音や光とかで、シーンとかの切れ目はあっても抜き所はなかったり、笑わせようともするシーンもないので、自然と場が緊張しているんだと思います。

─ 一般的にはメリハリや「緊張と緩和」みたいなものがあって、「見やすさ」が重要視されていることが多いからね。

小林 そうね、あとは笑いをつくろうとしていないというところが特長の一つなんじゃないのかと思います。あ、別に笑いをつくる団体さんのことをどうこう思っているわけじゃないです。んー。でも個人的には笑いって、客席は弛緩しても役者は緊張しているんじゃないかと思ったり、狙って笑いを取れる人は本当にすごいなあと思ったりします。なので、えーっと、何が言いたいのか分からなくなっちゃった(笑)

─ そこをなんとか(笑)



小林 なんというか、獣の仕業を期待して観に来てくださる観客の皆さまに応えようって、毎回やっています。ただ、それは皆さまの期待に沿うもの、ではなくて、獣の仕業が獣の仕業らしく=稽古での積み上げを確かなものにして見せていくって感じでしょうか。だから稽古が大切なんですね。え?ぶっちゃけ稽古嫌いなんですよ、はははは!

─ そうね…。私もウン、大好きではないです。楽しいことも多いけど…

小林 あ。分かるそれ。楽しいんですよね、稽古。嫌いだけど、行くと楽しんじゃう。通しとかすると、乾いた高野豆腐みたいになるけど(笑)朝起きて行かなきゃってなると切り干し大根みたいな気持ちになる、濡らしてくれって(笑)でもやっぱり大切なんですよね、稽古。で、なんですかね、稽古でできないことは本番でもできないと思うんです、これはよく立夏が言って、ああ確かになあと思うことなんだけど。ただ、稽古でできたことでも本番でできないこともあったりするんです、たぶんそれはできなかった、ではなくて、実際に板に立ってお客さんと対峙して初めて知る「やらなくてもよかったもの」、になるんじゃないかと思います。昔は、なんだか本番のテンションで芝居を変えたこともありましたけど、変わるなら稽古を踏まえたかたちで変わらなきゃ…もったいないかなって。日本人ですから。ふむふむ。たぶん役って、過去も背負ったまま新しく生まれるものなんでしょうね、私の中では。…ああ、なんだかよく分からないぴゃあー!!

─ 落ち着いて(笑)

小林 でも、結局は、とにかく頑張っていくだけなんです。はは。はは。…高野豆腐。


◆ 芝居をやる上で意識しているのは「自分の役割」

 どの役割かによって、やることは変わってくる

─ 獣の仕業でと言う枠組み以外で小林さんなりの「舞台に立つ上でのこだわり」とかルールみたいなモノってありますか?

小林 稽古でも板の上でも、たぶん意識しているのは自分の役割っていうところなんだろうと思うぷ。

─ ぷ? うん…。役割というのは何を求められているか? とか?

小林 何を求められているか、というよりは、自分は何をすべきなのか、今回はどんな役なのか、どのように映るようにやればいいのか、もちろん役のこともありますが、稽古の最中でも、なんか、自分はどういうポジションでいればいいのかとか、たぶん無意識なんですけど、それを見極めようとしているような気がします。極端な話、主役と脇役、コロスがやることは全然違うと思うんです。主役はドーンっと構えて、脇役は仕事人、コロスは一体化すること、とかざっくばらんに言えば、もちろん他の要素もありますけど、そんな風じゃないかと思います。でも、主役ドーンって言いましたけど、自分が主役なのに、まだドーンってできないときにはあたふたしちゃう(笑)それでもやるべきことはやって、話の構造にもよりますけど、「完全な主役」のときってのは、役者も演出も何もかも背負って潰されそうになってもちゃんと立ってやること、これを意識するというか自分に言い聞かせて…(笑)軸がぶれないように、しっかりと幹になって、枝葉が茂って花を咲かすみたいに、花になるみんなを支えて、一本の樹になれればいいなあって(笑)。

きえる (小林の話を聞いていて間に入ってくる)小林さんにとって『ヴェニスの商人』とは!?

小林 ・・・・・・・人生です。

─ この、深いようで深くない質問どうしよう…!

小林 ○○チャンピオンの最後みたいな。『あなたにとってフードファイトとは?』『生きることです!』当たり前やん、食べなきゃ生きていけないんだから(笑)

─ まあいいや、このやりとりはそのまま載ります、っと…。

小林きえる マジか!はははは!

─ 最後にお客様にメッセージをお願いします。

小林 これからも獣の仕業を宜しくお願いします!!


─ 小林さん、ありがとうございました。インタビュー第二弾もお楽しみに。


「これからも獣の仕業をよろしくお願いします!」




獣の仕業第九回公演

「ヴェニスの商人」[Kingdom Come]
チケット予約受付中!!

会場:pit北/区域(最寄り駅:JR京浜東北線、東京メトロ南北線「王子」駅)
◆公演特設ページはこちら◆

2014年11月
1日(土)14:00/19:00
2日(日)14:00/19:00
3日(祝)13:00/18:00


※ 11月3日のみ各開演時間が一時間早いのでご注意下さい。
※ 上演時間は80~85分を予定しております。



携帯からの予約はこちらをクリック!



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