脚本をつくるときに大切な「場所、時間、季節、温度、それから話し声」のこと 脚本・演出作法 2013年09月05日 0 立夏です。ブログでは出演者紹介が盛り上がっておりますが、今回の記事はその短期手中連載から少し横道にはずれて… 数週間ほど前に、脚本に出てくる一人二役のことについて書いたが、今回はその脚本を書く場所についての話を。 (よろしければお付き合いください) 第三回公演「雷魚、青街頭、暗闇坂、あるいはうしなわれたものたち」の頃から今までずっと続けてきたことがある。 それは「脚本を書く場所と時間を限定する」と言うこと。 自分の気持ちを表現するようなモノづくりをした時のことを思い返していただけると一定数共感いただけることと思うけれど、これはとても単純なことで例えばメールでもいい、携帯で打ったメールはその時の感情はもちろん、更に何時に、どんな場所で作られたものかによってその手触りが変わってくると思う。 朝よりも夜のほうが不安な気持ちになるから大事なことは午前中に決めたほうがいいであるとか、雨の日は頭痛がするとか。先に場所や時間などの環境があって、その環境が私たちの感情に作用していく力を私はずいぶん信じている。些細なことであるし、気分の問題なのかもしれないのだけど、演劇をやるうえで些細なことや気分の問題はむしろ一番大事なことなのではないだろうか。 私が脚本を書くときのルールは、その環境を可能な限り揃えるということだ。 次回第七回公演「群集と怪獣と選ばれなかった人生の為の歌」はもう脱稿しているけれど、第三回公演から第七回公演の今まで、それはある程度の目に見える結果を出しているような気がしていて、それは細かい部分や私だけが知っている(もしくは伝えきれなかった)部分を除くと、概ね「作品の持つ空気感が、脚本を書いていたその時間や場所の空気感と同じになる」と言うことになっている。 第三回公演「雷魚、青街頭、暗闇坂、あるいはうしなわれたものたち」の執筆時期は7月~8月、熱い部屋で雨戸をしめ切って真っ暗な部屋で扇風機もクーラーも付けずに書いている。もちろんとても暑かったので…、机の上には常に2Lの麦茶を用意していた。 第四回公演「飛龍伝」も同じような書き方をしている。ただ扇風機は付けた。 この二つの作品は上のようにどちらも同じような環境で書いていて、どちらも陰鬱で、まるで密室の中のような抑圧された空気の作品となった。 この「暗い中で書く」と言うのが私の脚本を書くときの基本スタイルにいつの間にかなっていて、獣の仕業のあの緊張感や薄暗い空気は脚本を書いているときの場所によって一部作られているのかもしれない。 第六回公演「オセロ」と番外公演「助ける」も同じように暗い場所で書いている、けれど、こちらは常にセリフを発話しながら書いている。 またオセロから雨戸がない家に引っ越してしまったので書く時間は夜に限定された。 この雨戸がなくなった件が自分で発見だったのは「雨戸を閉めて夜のように書く」ことと「夜に書く」ことは全然違うということだった。 これは自分の細かい感覚なので実際に作品に反映され切っている自信はないけれど、「雷魚」「飛龍伝」に比べて「オセロ」「助ける」の方がより内省的に、下にもしくは内に籠って行くような手触りになっている。書いているときの気持ちも、この二作品が一番苦しかったかもしれない。それはきっと夜の力だ。 第五回公演「せかいでいちばんきれいなものに」だけが異なる違う書き方をしていて、これは午前中に窓を開けて書いている。また、上演時期の都合この作品だけ執筆時期が明示的に冬だった。 今まで暑くて暗い中で書いていたのが、この作品で明るくて眩しい中で書いていることになった、そして、正にそのような雰囲気を持った作品となった。特に自分の中で象徴的なのがラストシーンには脚本5ページ分(約3000文字)の女優5人でのユニゾンの長セリフで、これはすべて観客への呼びかけとなっている。明るい場所で書くと気持ちが外に向かうのかもしれない。 さて、このように、毎回少しずつ書く場所を変えているのは、まあ何と言いますか、私の密かな遊びのようなものです。もし本や音楽を作っている人、もしくはこれから大切なメールを書こうとしている人がこれを読んでいたとして、「すてきなものを作りたいな」と思ったら、あなたが素敵だと思う場所、あなたが作りたいもののような風景の場所で作ってみるのを熱くお勧めしたいです。 今回の「群集」においては、今までとは少し趣向の違った環境を作っている。 これは内容には触れないのでネタバレにもならないから言ってしまうと、今回は脚本を手書きで書いている。最終的にはデータにするのだが、PCを使うのは手書きのものを打ち込むときだけにして。その時少し画面で修正を加えるのだけれど、とにかくベースは今回はノートとペンで作っている。 また時間の許す限り喫茶店で書くようにしていた。人のいる場所、特に知らない人の話し声が聞こえる場所と言うことで。 書いている間には、いろんな声がした。私の知らない人々、人々も私のことを知らない。そこには楽しそうな声、悲しい声、怒っている声、もう二度と聞けないかもしれない群集たちの声。 ふいに聞こえた声をいくつか、脚本にそのまま拝借させていただいた。このセリフが具体的になにか・というのは、わたしだけの宝物にしておきたい。(これは聞かれても答えないようにしようかなと、思っていたりします) これがどんな影響を作品に及ぼしているかどうか、ぜひ劇場に足を運んでご覧いただければ幸い。=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*獣の仕業第七回公演群集と怪獣と選ばれなかった人生の為の歌The Act of Beast 7th Stage[The Requiem for my Crowds, my Monsters, and my Lives]9/28,29(土日)@荻窪小劇場詳細は獣の仕業ホームページ公演特設ページにて PR
群集出演者紹介!その4 雑賀玲衣 次回公演 2013年09月02日 0 こんにちは。小林龍二です。先日から続いております出演者の紹介、客演の方々のご紹介が終わりましたので、今度は団員の紹介に移らせて頂きます。その4!「雑賀玲衣」です。雑賀との出会いのきっかけは、獣の旗揚げ公演、まさに今回の「群集と怪獣と選ばれなかった人生の為の歌」の初演を、ひょんなきっかけで観に来てくれ、「出たいです!」と言ってくれました。 「逆光に負けない・・・」そして2011年、「飛龍伝」が終わったのち、彼女は正式に劇団員となったのです!ババン!ちなみに、彼女は「ちゅん」と呼ばれています。稽古場は「ちゅん」「ちゅん」と皆が呼ぶものだから、さながら稽古場がスズメのお宿になります。たまに「ちゅんさん」と呼ぶ人もいます。完全に冬のソナタです。「ペ」の人です。ちなみに「ぺ」、いえ「ちゅん」はバランス感覚がとてつもなく、よいのです。日本舞踊の藤村流という流派の名取であるとともに、バレエも習っていた経験があり、更には、暇があるとバランスボールの上で遊んでいたという、まさにバランスの申し子なのです。 この日はムーミン谷からさらって来たフローレンスに乗ってバランスを取っています。重心も深く、声もよい、それでいて、しなもある、絶世のご婦人だ(カシオ曰く)ところで、獣の休憩時間、団員は騒ぐことがあります。「ぎゃははははは!」「ぽんぽこぽんの、うっぴっぴー!」「ひゃっほーい鍾乳洞(?)」などと。その中、ちゅんだけは大好きな豆腐を召し上がりながら、聖母のような微笑を湛えてこう言うのです。「いいと思います!」その「いいと思います」の前には、果たして「どうでも」がつくのか「元気が」がつくのか現在も分かりません、神秘が服着て歩いているようなものです。神秘さは内部に、外部にはショッキングピンク、そう、ちゅんは衝撃的桃色が大好きなのです。仮に、世界を旅したときに彼女を連れて行き、「I don't know shocking-pink!!」なんて道端で泣いている子供を見つけたら、小林「Hey,boy!! Look at her! She is Shocking-CHUN!」子供「Wow!Wonderful Nadeshiko!」小林「I peg your pardon?」子供「That's too bad!!」小林「Guddem!!」子供「Bye-bye, your mother is DEBESO!」小林「HAHAHA!? It's kidding! CHO MUKATSUKU !!」雑賀「いいと思います!」すべてを包み込む聖母、それが雑賀玲衣です。世界への架け橋、平和の象徴、鳩。くるっくー。 「いいと思います!きゃろっくー!」スズメじゃないの!?と、もう取り止めがありませんので締めますww誰よりもしっかりしている雑賀玲衣のご紹介でした。前回の「オセロ」ではデズネモーナ/鞆音という大役を圧倒的な存在感で演じた彼女が、今回はどのような役で、どうお客様方に魅せてくれるのか。乞うご期待です。ちなみに、雑賀玲衣が見られるのは【獣の仕業だけ】です。荻窪小劇場にてお待ちしております。では、長々と失礼しました。小林龍二
群集出演者紹介!その3 團野カヲル 次回公演 2013年09月01日 0 こんばんは、団員の雑賀です。先日、ひとりでカフェに入ったのに店員のお兄さんに「お二人様ですか?」と聞かれ、その濁りない眼と真っ直ぐな笑顔にもしや彼には私の隣に何かが見えているのではあるまいか、とヒヤッとしました。ヒヤリヒヤリ。9月です。テレビのホラー特集に怯えて暮らす夏ももう終わりですね。しかし、いよいよ第七回公演「群集と怪獣と選ばれなかった人生の為の歌」本番一ヶ月を切った獣の仕業の稽古場には、未だ灼熱真夏の熱気がむんむんに立ち込めております。短期集中出演者紹介、三人目は團野カヲルさんです。だんのかをるさん。波打つ栗毛にはじける笑顔の素敵無敵お姉さま。憧れちゃいますね。ドキがムネムネしちゃいますね。 稽古場では佐々木希に似ているともっぱらの評判ですが、私は密かに安達祐実に似てるなあ、と思っております。どちらにしたって、究極、いい女。そんな團野さんの美の秘訣は「お酢を飲むこと!」だそうです。もう、お酢、飲むっきゃないですね。 ダンスのご経験豊富な團野さん、動作のひとつひとつが優雅でしなやか。稽古の合間も自主錬を欠かしません。美は一日にしてならず、ですね。けれどいざ「見本みせてください!」とお願いしてもなかなか見せてくれない焦らし上手さんな一面も。そんな團野さんですが、中身は結構、男前。芯の通った、気風のいい姉さん。姐御!! 見た目の愛くるしさに魅せられて迂闊に近づくと、火傷する羽目になりますのでご注意を。まったく、憧れずにはいられませんね。第七回公演「群集と怪獣と選ばれなかった人生の為の歌」では、そんな團野さんのソフトとハード、二面性のある魅力が炸裂しております。是非、皆様お誘いあわせの上、お越しくださいませ。
群集出演者紹介!その2 水川美波 次回公演 2013年08月30日 0 こんばんは。暑さも少し和らいで、秋の足音が近づいてきましたね。ご無沙汰しております。藤長由佳です。獣の仕業第七回公演「群集と怪獣と選ばれなかった人生の為の歌」上演まで残り1か月、短期集中連載、出演者紹介!のコーナーです。お二人目はこの方、水川美波さん。みずかわみなみ、さん。音の響きが美しいです。美しい波です。 この素敵な笑顔で、いつも稽古場を明るく盛り上げてくださってます。そう、しみちょこコーンの味をわたしに教えてくれたのも彼女でした。寡聞にして、しみちょこコーンというものを知らなかったわたしに、激しい稽古の合間、彼女がそっと差し出してくれた一粒。星形のコーンの穴から覗いた彼女の笑顔は、とてもまぶしかった…話が脱線しましたが。彼女がいると、稽古場がより明るく、活発になる気がします。それは彼女の天性の明るさと、そして、上記のようなさりげない気配りのおかげだと思います。 身体表現がとても豊か。感情表現もとても豊か。うれしいときは回り、よろこぶときは跳ねる。彼女と一緒にいると、なんだか元気を貰えます。水川さんとの出会いは、大学時代に遡ります。演劇研究部、卒業公演での共演で出会い、獣の仕業、初演の「群集と怪獣と選ばれなかった人生の為の歌」への出演、第五回公演「せかいでいちばんきれいなものに」への出演、と、獣の仕業に力を貸していただきました。(その様子はこちらからもご覧いただけます!)初演の「群集」、そして第五回公演とはまたがらりと変わった、舞台上の水川さんの姿を是非お楽しみに。
群集出演者紹介!その1 年代果林 次回公演 2013年08月27日 0 はじめましての方もそうでない方も、改めましてこんばんは。団員の雑賀です。獣の仕業第七回公演「群集と怪獣と選ばれなかった人生の為の歌」上演まで残り約1か月、短期集中連載として本公演の出演者紹介を始めることになりました。記念すべき出演者紹介おひとり目は、EgofiLter劇団員の年代果林さんです。ねんだいかりんさん、と読みます。本名です。素敵なお名前ですね。多方面で精力的に活躍されている方なので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。 彼女を示す合言葉は元気!素直!!困り顔!!!よい子のお返事ができるよい子。少年のしなやかさと少女の純粋さを持ち合わせた、困り顔の妖精。ネバーランドにきっとこんな子、いる。素敵ですね。 持っているものもいちいち可愛く、彼女が「ペットボトルのおまけについてたんですよ」と持ってきたリラックマのペットボトルホルダーの可愛さに、コンビニに走る団員多数。京急マスコットキャラクター「けいきゅん」がお気に入りのご様子。かわいいものをかわいい子が持っているのを見ると和むよね、としみじみ感じている今日この頃。けれど妖精さんだと思ってほのぼのして見つめていると、時折、地球の生まれた理由すら知っていそうな顔をしたりする。まだまだ底の知れない方。素敵ですね。 この、あざとさ!あざとかわいい!!なんだよもういいよなんでも買ってあげるよ!!稽古中にもそのしなやかな身体と心で、豊かな世界を創り出してくださいます。今回、年代さんと同じ舞台に立ち、同じ世界で生きられる自分はとってもラッキーだな、とひっそりにんまりしております。獣の仕業第七回公演「群集と怪獣と選ばれなかった人生の為の歌」では、年代さんの性を超えた魅力と絶妙な困り顔がたっぷり堪能できますよ。いいもの見せます、そして魅せます!是非、皆様お誘いあわせの上、お越しくださいませ。雑賀ちゅん