戯れ 雑談 2013年12月04日 0 こんにちは。小林です。大変にご無沙汰しております。季節はすっかり冬に向かい、いよいよ夏の暑さが恋しくなって参りました。どちらかというと、私は冬の方が好きだと白状いたします。自分の誕生日が冬であるから、という理由もありますが、これ以外に理論的に「そうだ」と言える事実があります。「夏は全裸でも暑い」ということです。衣服が体温調整をするためのものであるのに対し、夏はこの人間の利器を易々と乗り越えるほどに狂暴です。そう、全裸でも暑い。だから夏より冬が好き、という訳ですね。しかし昨今、私は冬の弱点を知ってしまいました。それは、「外にいて寒くなったら地獄」だということです。家から着てきた以上の寒波が突然やってきたときには、人はなす術もなく「さむーい」と言って、ポケットに手を突っ込み、首をすぼめて歩く以外になくなります。その、腕がピーンとまっすぐになった姿、まさにラピュタのロボット兵、もしくは石ノ森作の「リュウの道」に出るアイザックでございます。よく分からぬ例えかも知れません、ごめんなさい!!果たして、私は夏には冬がいいと言い、夏には冬がいいと言う凡人なんですね。獣のように体毛が濃くなればいいのにと願わざるを得ません。けほん。さて、昨今わたしが気になっている言葉があります。というより、以前より興味深く思っている言葉です。それは、「面倒ださらっちまえ」です。個人的に、物凄く矛盾した言葉のように思えてなりません。さらうのは、絶対に面倒です。面倒以外の何物でもありません。なのに「面倒<さらう」という方程式が、時代劇ではよく成立します。その日本文化たるや、日本人でよかったなあと思う次第です。四季もある日本、そんな日本に来てみませんか?僕と握手しましょう。そんなわけで、戯曲を以下に書いてみます。世に言う「脚本」ではありません。ただの戯れです。劇団の活動とは大きくカーブするような、外れた戯れです。「面倒ださらっちまえ」に端を発した次第でございます。*************************************************山中を急ぐ娘。その娘を見つけた野武士2名野2「おい!」娘「きゃー」野1「騒ぐんじゃねえ!銭だ、おい銭出しな!」娘「銭なんて持っておりゃあしません。本当にこれっぽっちも」野2「嘘をつくんじゃねえ、なんだその包みは!それを寄越せ!やいやいやい!」娘「いやいやいや!こいつだきゃあお渡しできません。父が丹念を込めて作った番傘です。その丹精を銭に変えるのがあたしの生業なんです、これができなきゃあ、あたしら家族は野垂れ死んぢまいやす。」野1「銭はねえのかよい!?」野2「兄貴、銭より、見てみなさいよあの女の締まった体。こりゃあ、もういっそのこと」野1「バカ!今は兎にも角にも銭だろ!」野2「そうは言いますがね、都でもあんないい女は滅多に…あっ!あ兄貴、い、いねえ!女がいねえ!」野1「あ!あの阿婆擦れ!舐めた真似しやがって!バカ、とっとと捕まえにいくんだよ!」野2「へ、へえ!」山中を逃げる娘。野武士ども必死に追いかける。娘、足を滑らせる。娘「ああ!」野2「へっへっへ」野1「往生せえ」そこにふらっと登場。侍。娘「堪忍してけろ…お、お侍さん!」野1「なんだお前は!やっちまえ!」野2「へ、へえ!」カキンカキン!ドドドドドドドド!ペン!野1「か、敵わねえ」野2「お、おやぶん!」野1「ま、待て、待て待て待て!」侍「ぎょうにんべんをひと千切り、人の契り待てども侍になりしか」娘「…?(´・ω・`)」野「お、覚えてやがれー!」侍「むう。」娘「お侍さん、危ないところをありがとうございました。」侍「気を付けて行くが良い。」娘「…」侍「行けよ!…行かぬか、ならばこちらが行こう。さらば。」娘「あ、あの、お名前を!」侍「名乗るほどのものじゃあございません。」娘、侍をいつまでも見送っている。場は変わり、娘の家。父が風呂に入っている。娘「父ちゃん、湯加減はどうだい?」父「あっついくれえだ。いいなあ。ああ、ダメだ。口の中にまだ米の味が残ってら。」娘「父ちゃんが番傘つくってくれたお陰だよぉ。」父「いいや、娘が売ってくれたからだな」娘「なに言ってんだい、じゃああたし薪を取ってくるね」野2「あ、兄貴!女が出てきましたぜ!」野1「あいつのせいで、俺たちゃああの後、谷を転がり落ちるわ、熊に追いかけられるわ、子供に石を投げられるわで散々な目にあったんだ!」野2「兄貴、またいなくなっちまう!」野1「バカ!さっさと行くんだよ!」娘「きゃー」野2「てめえ騒ぐんじゃねえ!」野1「面倒ださらっちまえ!」父「娘どうした!娘!娘!娘ええええええーー!!!」全裸で見送ることしかできない父。場は変わり、町。町人がうろつく。父「娘、あっしの娘知りやしませんか!?」町「きたねえな!おとといきやがれ!」ゲシッ!父「あぁっ」侍「大丈夫かい」父「か、かたじけねえ!あんた、知らねえか、あっしの娘」侍「娘?どうしたんだ」父「さらわれちまった!あんとき風呂なんかに入らなければ、汚いままでいいと思わなかったから…!あれからすぐ方々探し回ったのに、いねえんだよ。むすめぇぇぇ。」侍「風呂…それで裸なのかい、お前さん。」父「そうさぁ。」侍「その娘の特徴は?」父「め、目がふたつで、鼻がひとつ、口は、どうだったかな。あ、あった!口がひとつ、確かにあった、間違いねえ!」侍「なんと」父「お、お侍さん知っているんでしか?あっしの娘を」侍「ああ。心当たりがあるでござる。」父「ほんまか!?」場は変わっておしんの家みたいな廃屋。娘が縄を巻かれている。付近で酒を飲む野武士ら。野1「けふの酒は美味じゃのう。いずくんぞ。」野2「あ、兄貴、それよかこいつどうするんでやんすか?」野1「このブログの更新者はキャラの言葉使いを変えすぎるあっぱっぱー。」野2「兄貴も変えられちまったでごずら。それよりも」野1「ああそうだな、こいつを使ってよ、こないだの侍をおびき出してよ、叩いちゃうべ?」野2「さっすがは兄貴!ハーバード行けますハーバードってなんですか!?」野1「知らねえよ!これが役者のつれえところだな。おい!早速侍を連れてこい!」野2「へ、へい!」侍「それには及ばんぞ!」野2「ひぃー!」野1「出たなショッカー!」父「娘、無事か!?」娘「もごもご、もーごもごもごもごもぐもぐ!」侍「娘、無駄に文字数を増やすな!黙ってみておれ!」野1「やっちまえ!」野2「いやあー!」キンキン、カキン、ドュブ!野2「ぎゃあ!」野1「あぁ、夏候惇!…もうメチャクチャ!で、でりゃあ!」カキンカキン、ピコピコ、プスンプスン、もふもふっ!ぴんぽーん!はーい、だぁれー?野1「ぎゃあー!」侍「安心せい、峰打ちじゃ。」父「む、むすめー!」娘「父ちゃん!…なんで裸?」父「バカだなあ、父ちゃんは服を着なくたって、こうしてお前を見つけられたじゃないか。あいつらに例え斬られても、服を着られなくても、そんなこと恥ずかしいと微塵にも思わないんだ。娘を失うことの方が、はるかに恥ずかしくてやるせないんだべ。」娘「父ちゃん…!」侍「娘、父ちゃんを大切にな。」去ろうとする侍娘「あ、あの、どうかお名前を…」侍「…」娘「ここまでしてくださったんです、何卒」侍「拙者の名は、」父「名は、」侍「寿限無寿限無五劫の擦り切れ海砂利水魚の水行末 雲来末 風来末食う寝る処に住む処藪ら柑子の藪柑子パイポパイポ パイポのシューリンガンシューリンガンのグーリンダイグーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの長久命の長助でござる。」娘「…」父「…」侍「死ねないんだ。」父「被害者、なのですね」侍「死ぬための旅をしているのです。その途中、誰かを助けたとしてもバチは当たらぬ。」娘「お侍さん…」侍「名乗ったばかりではないか。本名で…」娘「さよーならー!」侍「目の前で言うな!」父「ありがとーございましたー!」侍「うるさい!お前もだ、裸!」去ることを強要された侍。その背中を見送る父と娘。落つる日、あの太陽のように命落とす日を求めて、「寿限無…」は西に向かって歩いていく。負けるな「寿限…」、頑張れ「寿…」、明日に向かって走れ夜をヒッパレ、「侍」!!感動大作でしたね。個人的に楽しかったのでもう大丈夫です(?)それでは、皆様お体など崩されませぬようご自愛ください。今日はここまででございます。ありがとうございました。小林 PR