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獣の仕業のしわざ

劇団獣の仕業のブログです。 日々の思うこと、 稽古場日誌など。

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獣成るまで②

こんにちは。小林です。

連投企画が続いております。
さて、世はオリンピックによって彩られる、かと思いきや、今大会はなかなか盛り上がりにかけているような印象を受けます。選手の方々からしたら日本の期待という余りにも大きな期待を背負っての競技参加、わたしには耐えられません。その期待に応えて戦い続けている、とりわけ浅田真央選手はかくも強いなあと思って仕方がありません。
今回は、フィギュアもそうですが、ジャンプ女子やハーフチューブでもメダルの期待が凄いわけです。明日の朝になりましたら結果が出ていることでしょう。

さて、個人的にはオリンピックについては最近ようやくまともに観られてきたかなと思うわけです。子どもの頃は、特別番組などが構成されて観たい番組が観られず、「オリンピックめ!」と思ってしまっていたのです。なんという非国民でしょう。世が世なら憲兵隊に連れ去られて拷問を受けていたことでしょう、そして「ごめんなさい!もう世界名作劇場を観たいなんて思いません」と泣きながら、家なき子レミの絵を踏まされていたことでしょう。くすん、クシャっと。

そうです、かつての日曜の午後6時から午後8時までは私にとっては天国のような時間でした。フジテレビでは午後6時の「ちびまる子」を皮切りに「サザエさん」、「キテレツ大百科」、「世界名作劇場」と、2時間もの間、至福の時間を過ごしていたのです。特に「世界名作劇場」については「七つの海のティコ」、「ロミオの青い空」、「名犬ラッシー」、そして最終作の「家なき子レミ」と放映され、毎回録画し、涙を流しながら観ていたものです。なんでしょう、観ていると心がきりきりと軋むような切なさを感じていたのでしょう。かたや苦労を重ねてマイナスからゼロという幸福を得るモノガタリの数々を前に、私はクンクン泣きながらみかんでも食べながらコタツにぬくぬくしながら観ていたものですから、「こんな自分は物語の主人公にはなれないなあ」と思いながら、鼻くそをほじりながら過ごしていたのですね、子ども時代を。当時、それが憲兵隊にバレたなら、きっと穴蔵に放り込まれ、滝行以外は外出も許されず、同様にクンクン泣いていたことでしょう。平和な国に生まれてよかったと思わざるをえません。


さてさて、昨日は「獣成るまで」と題して学生の頃から立ち上げまでを綴ってきました。
どちらかというとスタッフ関係のことが多くなっていましたので、芝居関係のことも書いていきたいと思います。

さて、芝居について、ですが、当時の劇研(明治学院大学演劇研究部)では、基礎をやっていませんでした。今から思うと、ちょっと信じられないなあと思います。入部当初、先輩から「発声とはこうやるのです」と教えてもらい、「んーあー」とやり、また、さながら応援団のように外でもやったのですが、それはその時だけで、実際の稽古が始まると、ストレッチも発声も行わないまま、稽古をやっていたのです。あるいはジャージに着替えずに、ということもありました。

あ。別に先輩たちのことを批判しているつもりは全くありません。自分自身もそうしていたのですから、その状態でできる芝居をつくっていったのだと思っています。
ちなみに明学には演劇関係の団体が2つありました。1つは戸塚を根城にする私達の劇研で、そしてもう一つは白金を根城とする「明学小劇場」です。かつては1つの団体だったようですが、どうやら劇研が徐々にあらぬ方向に進んでいった際、「やってられぬ!」ということで劇研から抜け出して、毒されない芝居を追及していったのが明学小劇場であった、という逸話を聞いたことがあります。そして、その明学小劇場に所属していたのが、我らが雑賀玲衣でした。そうです、獣の仕業は明学の演劇関係の団体から、それぞれ構成された明学公認の団体だったのです!…うそです!ちょっと大きなことを言いたくなってしまいました、公認ではありません!ひっそりとやっております!ただ、個人的にもつながらいのある大学のご関係者の方は今でも観に来ていただいているのです。それは、誠に嬉しいかぎりですね。はい。


さてさて、いつもどおり話が逸れてしまいましたね。
そんなアップも行わないまま稽古をやるスタイルは2年くらい続いたと思います。ですが、やがて「正しい姿」で稽古をやるようになったのです。そのスタイルへと変えたのが立夏でした。立夏はある団体へ所属して学んだのだと思います。「劇研やばくね?ww」と。そう映ったことでしょう。かくいう私も、ちゃんとしたアップなどしていなかったので、「アップ?やってるよー」足首グネグネ。「はい、いよー!」この程度でした。信じられません、芝居を舐めているとしか思えません。ごめんなさいバッコスさん。

かくして、体系化などに発展させるまでには至ってはいないかも知れませんが、それを後輩に伝え、さらに後輩へと伝わっているのではないかと信じております。


さて、劇研のアップはそんな感じでしたが、獣を立ち上げてからは、当然しっかりとやります、と当たり前のことを言っています。そうです、今では当たり前のこと、というのが学生の頃はあまりやっていなかった、そして自分は「んーあー」なんて恥ずかしいよぉという人間だったのです。それがいまや「アップしないと」症候群になるという、このパラドクス。人は変わります。


ちなみに、もしかしたら私達の芝居をご覧になっている方々は気になるかも知れませんが、私達の稽古はオープンですので、稽古をご覧になりたい、という場合にはご遠慮なくご連絡くださいまし。

さて、現在やっているアップですが、もちろんストレッチや発声など行います。それが全員でやることもあれば各人でやることなど様々です。それは、その場の参加メンバーや空気、によって変わります。そして、あらかたアップを行ったあとに、全員で共通のメソッドをやります。「ニョッキ」というものと「ライン」というものです。

どちらも固有の名称だと思いますが、まず「ニョッキ」というのは、下半身は蹲踞~立身を繰り返し、上体は腰を立てたまま腕を…ニョキニョキさせます(笑)すいません分かりませんよね、腕を広げて閉じて、ということをします。これを体内に大気を取り込むように、吸う吐くを、動きに合わせて行います。15分間ずっとやります。このとき、下半身については重心は基本的に下にかけ続けます。汗が滴ります。我らが田澤は、足元に池をつくります。そのうえを歩くと滑り、数多の戦士達が倒されました、トラップですね。

続いて「ライン」ですが、これはマクベスの台詞を使います。「明日、また明日また明日と時は小刻みな足取りで一日一日を…」というフレーズですね。長くもなく短くもないですがブレスの位置は全員同じにします。このフレーズは動きの、あるタイミングで発します。動きは、簡潔に言うと、「バチーン」「スッ」「プル」「シャボーン」などです。難解でしょう(笑)ちょっと説明が難しいのですが、連続性のある動きが用意され、ある地点でストップして台詞を発します。動きは、片足で立ったり、アキレス腱を伸ばすような姿勢になったり、蹲踞の姿勢になったり、です。台詞はその際、子音と息を3段階でコントロールして発します。重心やバランスと発声と発話のレベルをコントロールするというものですね。

この2点をベースメソッドにして、稽古に入るというのが常です。たまにこれに加えて何かやることもあります。

獣は、このようにして稽古をけもけも進めているのであります。


ふふふ。なんてマジメなことを書いたのでしょうか。株はウナギのぼりですね。
なお、こちらに紹介したメソッドも、これから変わっていくかもしれません。
とにもかくにも、未だ発展途上です。まだまだ、頑張ってまいりたいと思います。


それでは、次の更新はいつになるかちょっと分かりませんが、けもけもやっていきたいと思います。

ありがとうございました。


小林
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