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獣の仕業のしわざ

劇団獣の仕業のブログです。 日々の思うこと、 稽古場日誌など。

9/7-9/9 The Out of Beast 2018「象」登場人物紹介


 いよいよThe Out of Beast 2018「象」の上演が今週末(9月7日〜9日)となりましたので、本作の登場人物紹介をいたします。
 
 
 
(注意)
 このエントリーでは作品の登場人物について記載されているため、登場人物のバックボーンやストーリーの一部など「作品内容のネタバレ要素」が多少含まれています。

 作品の序盤ですぐに説明される内容や、チラシのあらすじ文ですでに記載されている程度の内容に留めており、核心部分や終盤で判明する内容については伏せておりますが、苦手な方は終演後にご覧いただければ幸いです。








男/嵐の夜に傘を差す男性……手塚優希

「そして私は時々考えますよ。あいつが走り出す日のことを。その日、私が笑えるかどうか、ということをね」

 物語の冒頭に登場する、嵐の中傘を差している男性。
 彼は「暗い深いところでじっと坐っていたい」と語り始め、そしてこの物語が始まる。
 彼は日頃の折を見て被爆症の叔父の見舞いに来ている。彼自身も叔父と同じくヒロシマで被爆しているが「僕は平気ですけどね」と看護婦に語っている。
 
 彼の「暗い深いところでじっと坐っていたい」「自分のことを放っておいてほしい」という発言は、自分の一番近くにいる同じ被爆者の叔父を見ての価値観であるようだが……。




妻/病人の妻であり男の叔母……手塚優希+立夏

「私は嫌いですよ。あの話は」

 男が見舞いに行っている病人の妻。近頃は時々しか見舞いに来ないようである。暗い部屋を好んでいて、電気が付いていると「肌が荒れる」と言い消してしまう。
 夫である病人が好んでたびたび話す「あの話」を聞くことを嫌がっている。



看護婦/病院に勤める被爆者の女……立夏

「私はこの病院に長くいますけど、どうしても慣れないのです。いやなにおいです。あの方の病室にも、ここにも、どこにでも……。私もにおいますか?」

 病院に勤めている看護婦。彼女もまた被爆者である。


医者/病院に努めている被爆者ではない男……立夏

「愛し合うということは一番いいことだよ。つまり、愛し合っている人々を見るくらい気持ちのいいことはないからね」

 病院に勤めている医者。彼はこの物語でただひとり被爆を経験していない側の人間である。
 彼の手は生ぬるく、また、彼の足は足音ひとつ立てない。音もなく病室に近寄り、病人のことをじっと見つめていることがある。


病人/背中にケロイドのある被爆症の男……小林龍二

「そりゃあ演壇に立ってサッとワイシャツを脱ぐまでは情熱に満ち満ちていたもんさ。ワイシャツを脱いで床に叩きつけるまではね」

 ヒロシマで被爆を受け背中にケロイドがある病人は、今は入院おり、また、足が細くなってしまったため遠くまで歩くことができない。しかし、かつて原水爆禁止大会の演壇に立って、自らのケロイドを観衆に披露した経験がある。また、その後も何度もリヤカーを引いて街に出向いては、ゴザの上に立って道行く人々にケロイドを見せてカメラのシャッター音が響く中でポーズを取っていた。
 病人はそのときのことを見舞いに来た男に昨日のことのようにありありと語る。男にとって背中のケロイドは自分の存在そのものなのだ。
 
 男の夢は、歩く練習を重ね、またあの街に行って自分のケロイドを世間に見せつけることなのだが……。

 photo by Mao,u Twitter@maosphoto
 
 


 
 以上、登場人物紹介でした。
 

 最後までご覧くださりありがとうございます。
 ご来場を心よりお待ちしております!
 
 
 公演は来週9/7(金)〜9/9(日)です。
 作品にご興味を持っていただけましたら、以下のカルテットオンラインからご予約をお待ちしております!
「象」チケット予約フォーム
 


 

The Out of Beast 2018「象」

作:別役実(三一書房「別役実戯曲集」より)
演出:立夏
出演:手塚優希 立夏 小林龍二

 とある病院。そこには背中に被爆痕のあるひとりの病人が入院している。
 病人は日々歩く練習をしている。病人の夢は、自分の足でもう一度あの街に行くことである。自分の被爆痕を人目に晒すために。
 見舞いにやってくる病人の妻と甥も同じく被爆者であるが、彼らはそのような野心は持ち得ない。
 
 男は叔父の被爆痕を、むしろ憎んでいた。男は何もせず、ただ静かに暮らしていたかったのだ──
 
 ──敗北を強いられた人々の悲しみと孤独をさりげない手触りで描いた別役実初期代表作。
 

○日時:

2018年9月7日(金)〜9月9日(日)
9/7(金) 20:00
9/8(土) 14:00/17:00/20:00
9/9(日) 14:00/17:00

○料金:

2,000円(前売・当日ともに)
リピーター割引:1,000円(半券持参・要予約)

・上演時間:65〜70分
・受付開始・開場は開演30分前
・小学生未満のお子様のご入場はご遠慮ください
・開演10分前を過ぎますとキャンセル待ちのお客様を優先してご案内致しますので、お席の確保ができない場合がございます。お時間には余裕を持ってお越しください
・リピーター割引は本公演の半券のみご利用いただけます

○チケットご予約:ご予約はWebフォームからのご予約が便利です。

メール・電話でも受けつけております。いずれのご予約方法の場合にも当日会場受付でのお支払です。

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電話またはメールから予約する

・09027509136
・swz★live.jp(★を@に変えてください)
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○会場:

レンタルスペース+カフェ「兎亭」
(練馬区旭岡1-46-12エイケツビルB1)
・西武池袋線「江古田」駅より徒歩7分
・都営大江戸線「新江古田」駅より徒歩13分
※ 会場には駐車場・駐輪場はございません。公共交通機関をご利用いただくか近隣の有料駐車場・駐輪場をご利用ください
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