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獣の仕業のしわざ

劇団獣の仕業のブログです。 日々の思うこと、 稽古場日誌など。

「ヴェニスの商人」10/11,12・18,19 稽古場日誌 ~あるいは一枚の豊かな瑠璃色の布について~


ひとつずつ丁寧に測ります。芝居も、舞台も、同じです。


 立夏です。
 獣の仕業第九回公演「ヴェニスの商人」まであと2週間弱となりました。今週の稽古が土日の最終稽古です。改めて本番までの期間を俳優さんやスタッフさんと過ごしてくると、お客様に届くときの作品の手触りや質感がかなり明確になってきます。

 今回の作品、今迄の獣の中ではかなり異色の作品になるのではないでしょうか。
 今迄で最も静かで、最も丁寧で、そして、表面がとても冷たい。そして、中身がとてもあたたかい。

 代表としては、企画段階時点からある程度作品の雰囲気は想像していました。
 そして勿論、現時点でできているようなものに近いモノを作るつもりではいたのです。
 ですが、やはり稽古場で立ち上がってくるモノというのは、同じ質感でも、そこに掛かってくる重量が違うなあと思います。すべてにおいて想像よりも「大きい」ものができます(これは、私の想像力がまだまだだという意味でもあります)。

 「想像」という「物質」にも多少の重量は掛かると個人的には決めつけておりますが、生身の人間が立ち上がると、些細なことで、濡れて/乾いて/沈んで/浮かんでいく。
 稽古場で登場人物達のやりとりを積み重ねていく中で、こんなにも人と人との間の質感ってユラユラと変化しつづけているんだなあと思い知っています。


 質感 たとえば、
 
 ─ 綺麗な水の中を、すうっと泳いでいるような質感。
 ─ 有刺鉄線の中を藻掻き苦しみ進んでいかなければならないような質感。
 喩え方は様々ですが、「悲しみ」「痛み」は獣の仕業で良く取り扱われている質感です。これらを圧倒的な「熱量」と「スピード感」と共にお届けしてきたのが今迄の獣の仕業の作品作りです。
 


 今回新しい挑戦は、
 ─ 強い眠りと倦怠感が満ちて、ただ一筋の憎しみだけで覚醒しているような質感。
 ─ ゆったりと時が停止しているような中で、自分の背後で冷たいモノが動いているような質感。
 これらは多分、これまでの獣の仕業の公演では殆ど表現されなかった、表現されたとしても前面には出てこなかったような質感です。

 今迄作り上げてきた気持ちや熱量や速度は抑揚の中で残しながら、ベースの表現の仕方にはひんやりとしたものや気怠いものを多く取り入れています。

 その中で、「シャイロック」と言う男の情動をなるべく正確に、(つまり悲劇のヒーローにも寄せず、スーパースターにすることなく)描きたいと思っています。


 シャイロック、ユダヤの金貸しシャイロック、

 彼にはひとり、娘がいました。




 私達の目の前には今、一枚の豊かな瑠璃色の布があります。
 海のような、夜空のような、あるいは青い鳥のようなものです。

 布の質感を壊さないまま、その風を含んだ風合いを残したまま、ひとつのゆったりとしたドレスにしたい。

 稽古場は今、最終縫製段階です。

 皆様のご来場、お待ちしております。


獣の仕業第九回公演

「ヴェニスの商人」[Kingdom Come]
チケット予約受付中!!

会場:pit北/区域(最寄り駅:JR京浜東北線、東京メトロ南北線「王子」駅)
◆公演特設ページはこちら◆

2014年11月
1日(土)14:00/19:00
2日(日)14:00/19:00
3日(祝)13:00/18:00

※ 11月3日のみ各開演時間が一時間早いのでご注意下さい。
※ 上演時間は80~85分を予定しております。

携帯からの予約はこちらをクリック!


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